大学入学共通テスト実施方針(案)

大学入学共通テスト実施方針(案)

文部科学省(2017年7月)公表

1.名称

大学入試センター試験に代わるテストの名称は、「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」という。)とする。

 

2.目的

共通テストは、大学入学希望者を対象に、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的とする。このため、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行うものとする。

 

3.実施主体

共通テストは利用大学が共同して実施する性格のものであることを前提に、大学入試センター(以下「センター」という。)が問題の作成、採点その他一括して処理することが適当な業務等を行う。

 

4.実施開始年度

平成32年度(平成33年度入学者選抜)

※ 次期学習指導要領に基づくテストとして実施することとなる平成36年度以降の方針については、平成33年度を目途に策定・公表予定。

 

5.出題教科・科目等

○ 共通テストの出題教科・科目等は、別表1のとおりとする。

※ 次期学習指導要領において高等学校の教科・科目が抜本的に見直される予定であることを踏まえ、平成36年度以降は教科・科目の簡素化を含めた見直しを図る。


別表1 出題教科・科目

教科等 出題科目 出題方法等 備考
国語 『国語』 「国語総合」の全ての内容を出題範囲とする。 『国語』の出題には記述式問題を含む(古文、漢文を除く。)。
地理歴史 「世界史A」

「世界史B」

「日本史A」

「日本史B」

「地理A」

「地理B」

 左記の6科目は、それぞれの科目の全ての内容を出題範囲とする。
公民 「現代社会」

「倫理」

「政治・経済」

『倫理,政治・経済』

「現代社会」、「倫理」及び「政治・経済」はそれぞれの科目の全ての内容を出題範囲とする。

『倫理,政治・経済』は、「倫理」と「政治・経済」を総合した出題範囲とする。

数学 「数学Ⅰ」

『数学Ⅰ・数学A』

「数学Ⅱ」

『数学Ⅱ・数学B』

「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」は、それぞれの科目の全ての内容を出題範囲とする。

『数学Ⅰ・数学A』は、「数学Ⅰ」と「数学A」を総合した出題範囲とする。

ただし、「数学A」については、「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」の3項目の内容のうち2項目以上を学習した者に対応した出題とし、問題を選択解答させる。

『数学Ⅱ・数学B』は、「数学Ⅱ」と「数学B」を総合した出題範囲とする。

ただし、「数学B」については、「数列」「ベクトル」「確率分布と統計的な推測」の3項目の内容のうち2項目以上を学習した者に対応した出題とし、問題を選択解答させる。

 

「数学Ⅰ」及び『数学Ⅰ・数学A』の出題

には記述式問題を

含む。「数学Ⅰ」・『数学Ⅰ・数学A』の記述

式問題の出題範囲は、「数学Ⅰ」とする。

理科 「物理基礎」

「化学基礎」

「生物基礎」

「地学基礎」

「物理」

「化学」

「生物」

「地学」

 

 左記の8科目は、それぞれの科目の全ての内容を出題範囲とする。
外国語 『英語』

『ドイツ語』

『フランス語』

『中国語』

『韓国語』

『英語』は、「コミュニケーション英語Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅱ」及び「英語表現Ⅰ」を出題範囲とする。

『英語』以外の外国語科目は、英語(リスニングを除く。)に準ずる。

『英語』はリスニングを含む。
専門学科に関する科目 『簿記・会計』

『情報関係基礎』

『簿記・会計』は、「簿記」及び「財務会計Ⅰ」を総合した出題範囲とし、「財務会計Ⅰ」については、株式会社の会計の基礎的事項を含め、「財務会計の基礎」を出題範囲とする。

『情報関係基礎』は、専門教育を主とする農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報及び福祉の

8教科に設定されている情報に関する基礎的科目を出題範囲とする。

 

(注1)「 」『 』内記載のものを1出題科目とする。

(注2)「 」で記載されている科目は、高等学校学習指導要領上設定されている科目を表し、『 』はそれ以外の科目を表す。


○ 「国語」、「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」については、8.で見直しを行うマークシート式問題に加え、記述式問題を出題する。

※ 次期学習指導要領に基づくテストとして実施することとなる平成36年度以降、地理歴史・公民分野や理科分野等でも記述式問題を導入する方向で検討を進める。

 

6.記述式問題の実施方法等

 

(1)国語

①出題の範囲

記述式問題の出題範囲は、「国語総合」(古文・漢文を除く。)の内容とする。

 

②評価すべき能力・問題類型等

多様な文章や図表などをもとに、複数の情報を統合し構造化して考えをまとめたり、その過程や結果について、相手が正確に理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を評価する。

設問において一定の条件を設定し、それを踏まえ結論や結論に至るプロセス等を解答させる条件付記述式とし、特に「論理(情報と情報の関係性)の吟味・構築」や「情報を編集して文章にまとめること」に関わる能力の評価を重視する。

 

③出題・採点方法

○ 記述式問題の作問、出題、採点はセンターにおいて行う。

○ 多数の受検者の答案を短期間で正確に採点するため、その能力を有する民間事業者を有効に活用する。

○ センターが記述式問題の採点結果をマークシート式問題の成績とともに大学に提供し、各大学においてその結果を活用する。

※ センターが共通テストにおいて作問、出題、採点する記述式問題とは別に、各大学が個別選抜において一定の期日に出題・採点に利用することができるようセンターが大学の求めに応じ記述式問題及び採点基準を提供する方式の導入も検討する。

 

(2)数学 ①出題の範囲

記述式問題の出題科目は、「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」とし、出題範囲は「数学 Ⅰ」の内容とする。

 

②評価すべき能力・問題類型等

図表やグラフ・文章などを用いて考えたことを数式などで表したり、問題解決の方略などを正しく書き表したりする力などを評価する。

特に、「数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること」に関わる能力の評価を重視する。

 

③出題・採点方法

○ 記述式問題の作問、出題、採点はセンターにおいて行う。

○ 多数の受検者の答案を短期間で正確に採点するため、その能力を有する民間事業者を有効に活用する。

○ センターが記述式問題の採点結果をマークシート式問題の成績とともに大学に提供し、各大学においてその結果を活用する。

 

7.英語の4技能評価

○ 高等学校学習指導要領における英語教育の抜本改革を踏まえ、大学入学者選抜においても、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を適切に評価するため、共通テストの枠組みにおいて、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験を活用する。

○ 具体的には、以下の方法により実施する。

  • 資格・検定試験のうち、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしているものをセンターが認定し(以下、認定を受けた資格・検定試験を「認定試験」という。)、その試験結果及びCEFR(※)の段階別成績表示を要請のあった大学に提供する。

このような方式をとることにより、学習指導要領との整合性、実施場所の確保、セキュリティや信頼性等を担保するとともに、認定に当たり、各資格・検定試験実施団体に対し、共通テスト受検者の認定試験検定料の負担軽減方策や障害のある受検者のための環境整備策を講じることなどを求める

また、認定試験を活用する場合は、受検者の負担に配慮して、できるだけ多くの種類の認定試験を対象として活用するよう各大学に求める。

※ CEFR…(Common European Framework of Reference for Languages : Learning , teaching , assessment)の略称。外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通参照枠。

  • 国は、活用の参考となるよう、CEFRの段階別成績表示による対照表を提示する。
  • センターは、受検者の負担、高等学校教育への影響等を考慮し、高校3年の4月~12月の間の2回までの試験結果を各大学に送付することとする。
  • 共通テストの英語試験については、制度の大幅な変更による受検者・高校・大学への影響を考慮し、認定試験の実施・活用状況等を検証しつつ、平成35年度までは実施し、各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することを可能とする。
  • 各大学は、認定試験の活用や、個別試験により英語4技能を総合的に評価するよう努める。
  • なお、認定試験では対応できない受検者への対応のための共通テストの英語試験の実施については、別途検討する。

 

8.マークシート式問題の見直し

 

○ 思考力・判断力・表現力を一層重視した作問への見直し

次期学習指導要領の方向性を踏まえ、各教科・科目の特質に応じ、より思考力・判断力・表現力を重視した作問となるよう見直しを図る。

 

9.結果の表示

 

  • マークシート式問題

各大学において、入学者受入れ方針に応じたきめ細かい選抜に活用できるよう、大学のニーズも踏まえつつ、現行の大学入試センター試験よりも詳細な情報を大学に提供する。

提供する情報の内容については、以下の事項を含め、今後、プレテスト等の状況

も踏まえつつ検討し、平成29年度中に結論を得る。

・ 設問、領域、分野ごとの成績

・  全受検者の中での当該受検者の成績を表す段階別表示

 

  • 記述式問題

設問ごとに設定した正答の条件(形式面・内容面)への適合性を判定し、その結

果を段階別で表すことなどについて検討する。

結果の表示の仕方については、国語、数学の科目特性や試験問題の構成の在り方も踏まえ、プレテスト等を通じて明確化する。

 

※ 上記(1)(2)に関し、大学が指定した教科・科目については、全ての問の結果の活用を求める。

 

10.実施期日等

○ 共通テストの実施期日は、1月中旬の2日間とする。

○ マークシート式問題と国語、数学の記述式問題は同一日程で、当該教科の試験時間内に実施する。

○ 成績提供時期については、現行の1月末から2月初旬頃の設定から、記述式問題のプレテスト等を踏まえ、1週間程度遅らせる方向で検討する。

 

11.その他

○ 出題教科・科目の試験時間、実施期日・成績提供時期、実施上の配慮事項(試験場の割当て、障害等のある受検者に対する配慮、再試験・追試験の実施)、実施方法等に関する要項(時間割、検定料、成績の本人への通知等)の具体的な取扱いについては、プレテストの結果等を通じて引き続き検討し、今後、実施大綱(平成31年度初頭目途に策定・公表予定)のほか、適切な時期に順次公表する。

なお、共通テストの検定料については、英語の資格・検定試験を活用することも踏まえ、受検者の経済的負担に配慮して所要の検討を行う。

障害のある受検者に対しては、引き続き合理的な配慮を行う。

 

○ プレテストの実施内容と今後のスケジュールは別表2のとおり。

なお、プレテストを通じて共通テストにおける試験問題の検討を行い、その検討結果を公表する。

 

※ CBTの導入については、引き続きセンターにおいて、導入に向けた調査・検証を行う。平成29年度については、問題素案の集積方法の検討及び集積等を行う。

この成果も踏まえ、平成36年度以降の複数回実施の実現可能性を検討する。


 

 

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